ラダー図の基本:接点・コイル・タイマーをPLC入門者向けに解説
この記事でわかること
ラダー図の読み方・書き方を接点・コイル・タイマーから解説。PLC初心者でも現場の制御プログラムが読めるようになる入門記事。トラブル時に自分で因果関係を追えるようになる。
1「ラダー図を見てください」と言われて固まった
設備が止まった。設備メーカーの担当者が駆けつけてパソコンを開き、こう言った。
「このラダー図を見てください。X10のセンサが入力されていないのが原因です」
画面には縦横の線が並ぶ図が表示されているが、何がどうなっているのかまったくわからない。
「ラダー図はソフト屋の仕事」と思っていると、トラブル対応を毎回メーカーに丸投げするしかなくなります。でも基本的な読み方を知っていれば、「なぜ止まったのか」の因果関係くらいは自分で追えます。
この記事では、ラダー図を読むために最低限必要な知識を整理します。
2ラダー図は「電気回路図の別表現」
ラダー図(Ladder Diagram)は、リレー回路を模したPLCのプログラム言語です。「梯子(ラダー)」のように見えることからこの名前がついています。
左右に縦線(電源ライン)が走り、その間に横のラングが並ぶ構造です。左の縦線から右の縦線に電気が流れると「コイルがONになる」というイメージで読みます。
34つの基本要素
①常開接点(a接点)
--[ ]--
信号がONのときに導通する。スイッチを押したときに回路がつながるイメージ。センサがONになったとき・ボタンを押したときなど、トリガーとなる条件に使う。
②常閉接点(b接点)
--[/]--
信号がOFFのときに導通する。a接点の逆。「エラーが出ていない」「扉が閉まっている」など、安全条件として使うことが多い。
③コイル(出力)
--( )--
左側の条件が成立したときにONになる出力。モータ起動・ランプ点灯・バルブ開など、実際に何かを動かす指令に使う。
④タイマー
--[TON T1 1000ms]--
条件がONになってから一定時間後に出力をONにする遅延タイマー(TON)が最も基本。「センサを検出して0.5秒後に次の動作へ」のような時間制御に使う。
4基本記号一覧
| 記号 | 名称 | 意味 |
|---|---|---|
[ ] |
常開接点(a接点) | 信号ONで導通 |
[/] |
常閉接点(b接点) | 信号OFFで導通 |
( ) |
コイル | 条件成立で出力ON |
(/) |
否定コイル | 条件成立で出力OFF |
[TON] |
タイマー(遅延ON) | 条件ON後、設定時間で出力ON |
[TOF] |
タイマー(遅延OFF) | 条件OFF後、設定時間で出力OFF |
[CTU] |
カウンタ(加算) | 入力のたびにカウント。設定値でON |
5読み方の練習:AND回路
--[X0]--[X1]--( Y0 )--
読み方: X0がON、かつX1もONのとき、Y0がONになる。
現場例: 「ドアが閉まっている(X0)」かつ「スタートボタンを押した(X1)」ときに「モータが起動(Y0)」する。
6読み方の練習:OR回路
--[X0]--+--------+--( Y0 )--
| |
--[X1]--+
読み方: X0がON、または X1がONのとき、Y0がONになる。
現場例: 「手動スタートボタン(X0)」または「自動スタート信号(X1)」でモータが起動。
7よくある失敗:b接点の読み間違い
ラダー図の初心者が一番やらかすのが、b接点(常閉接点)の読み間違いです。
[/] は「ONのとき止まる」ではなく「OFFのとき通る」です。非常停止ボタンは多くの場合b接点で設計されており、「ボタンを押していない(OFF)=回路が導通=動作できる」という状態になっています。
ボタンを押したとき(ON)に回路が切れて設備が止まる——このb接点の考え方が最初の壁です。
8グレーゾーン:a接点とb接点はどちらで設計すべきか
「安全に関わる信号はb接点(常閉)で設計する」が原則ですが、理由を知らないと混乱します。
b接点を使う理由: 配線が断線したとき、a接点では「信号OFF→設備が動き続ける」ことがある。b接点なら「配線断線→接点が切れる→設備停止」となり、フェールセーフになる。
非常停止・扉インターロックなど安全に関わる信号は、断線でも止まるようにb接点を使います。一方、通常の起動条件はa接点で問題ありません。
9ラダー図が読めると何が変わるか
- 設備トラブル時に「どのセンサが入っていないか」を自分で確認できる
- 設備メーカーへの問い合わせが「Y0が出ていないのですが原因は何ですか?」と具体化できる
- 簡単な改造(タイマー値の変更など)を自分で判断できる
完全に自分でプログラムを書けなくても、読めるだけで保守対応のスピードが大きく変わります。
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この記事の執筆者
seigitech 編集部
生産技術・機械設計・自動化・MES・AIを専門とする実務エンジニア集団。 現場での実務経験をもとに、すぐに使える知識とノウハウを整理・発信しています。