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空気圧回路設計の基礎|シリンダー制御からシーケンス設計まで現場で使える知識

最終更新日 2026-06-03読了時間 約6

この記事でわかること

空気圧回路の記号が読めない、シリンダーが誤動作する、配管系統が複雑になりすぎる。電磁弁・スピコン・レギュレータの組み方と制御シーケンスの設計方法を整理します。

1「とりあえずシリンダーに電磁弁つければ動く」からの卒業

空気圧機器は手軽に動かせる反面、「なんとなく配管してなんとなく動く」設計になりがちだ。その状態で量産に入ると、速度調整がシビアすぎて現場が毎日ネジを回したり、電磁弁の誤動作でシリンダーが突然飛び出したりするトラブルが起きる。

空気圧回路を正しく設計するとは、使うデバイスの組み合わせと順序を決め、図面として明示すること。この記事では電磁弁・スピードコントローラー・レギュレータの役割と組み方、シーケンス設計の考え方を整理する。


2空気圧回路を構成する主要デバイス

電磁弁(ソレノイドバルブ)

シリンダーへの空気の流れをON/OFFする弁。ポート数と位置数で種類が決まる。

種類 構成 動作
2ポート2位置(2/2弁) IN・OUT × 2位置 ON/OFFのみ。流路開閉
3ポート2位置(3/2弁) IN・OUT・排気 × 2位置 単動シリンダー用。ONで前進、OFFで戻る
5ポート2位置(5/2弁) P・A・B・R1・R2 × 2位置 複動シリンダー用。一般的な往復動に使う
5ポート3位置(5/3弁) 上記 × 3位置(中間位置あり) 中間停止・中間圧力保持が必要なとき

判断の基本: 複動シリンダー(前進・後退どちらも空圧で動かす)→ 5ポート2位置。単動シリンダー(バネ戻り) → 3ポート2位置。途中で止めたい → 5ポート3位置(クローズドセンター)。

シングルソレノイドとダブルソレノイドの選択:

  • シングル(片側電磁): ONで前進、OFFでスプリング戻り。電源断で安全側に戻したい場合に有効
  • ダブル(両側電磁): 前進・後退それぞれにON信号が必要。停電時に位置保持したい場合に有効

スピードコントローラー(スピコン)

シリンダーの速度を調整する絞り弁。メータアウトメータインの2種類がある。

方式 仕組み 使いどころ
メータアウト 排気側を絞る 一般的な速度調整。外力がかかっても安定
メータイン 給気側を絞る 水平方向・軽負荷のみ。垂直下降には使わない

重要:垂直シリンダーにはメータアウト必須。 メータインだと、シリンダーが自重で急落下するリスクがある。スピードコントローラーの選定ミスは安全事故につながるため、取付方向には必ず注意する。

設置はシリンダーのポート直近が原則。配管の途中に入れると、配管内の圧縮空気の影響で速度が安定しない。

レギュレータ(減圧弁)

上流の供給圧力を一定に下げて安定供給する。設備ごとの空気圧を独立して設定できる。

工場元圧(0.6〜0.8MPa)
 ↓
エアフィルター(水分・油分除去)
 ↓
レギュレータ(設備用に0.4〜0.5MPaに設定)
 ↓
ルブリケーター(必要なら潤滑油添加)
 ↓
電磁弁 → シリンダー

FRL(フィルター・レギュレータ・ルブリケーター)ユニットとして一体化した製品が主流。設備ごとに1ユニット設置するのが基本。

近年のシリンダーやバルブはオイルフリー対応が増えているため、ルブリケーターが不要なケースも多い。機器メーカーのカタログで確認する。


3空気圧回路図の記号

JIS B 0125に基づく回路記号を読めるようにする。

シリンダー記号

複動シリンダー:  |─[  ]─|
単動(押し出し):|─[  ]→ (バネ側に矢印)

電磁弁(5/2弁)記号

□─┐ ┌─□
   ├─┤
   │ │ ← 2つのボックス = 2位置
   ▽ ▽ ← 接続ポート

各ボックスの中の矢印が流路の向きを示す。

回路図の読み方

回路図は上から下に空気が流れる方向で描くことが多い。

  1. 供給圧力源(三角形)からスタート
  2. FRLユニットを通過
  3. 電磁弁で分岐
  4. スピコンを経由してシリンダーへ

4シーケンス設計の考え方

複数のシリンダーを順番に動かす場合、シーケンス(動作順序) を設計する。

動作順序の表現方法

シリンダーをA・B・Cとし、前進を+、後退を−で表す。

例:A前進 → B前進 → A後退 → B後退 の場合

A+ → B+ → A− → B−

これをラダー図(PLCプログラム)やSFCに落とし込む前に、空気圧回路の配管と電磁弁の配置を決める。

インターロックの設計

シリンダーの誤動作防止のため、センサーで前進完了を確認してから次の動作に移るのが基本。

A前進 → Aの前進端センサーON → B前進開始

センサー確認なしで時間制御(タイマー)だけで制御すると、ワークが詰まったり速度が変化したりしたときに誤動作する。量産設備では位置確認センサー必須が原則。

よくある設計ミス

ミス1:電磁弁の排気音対策なし 電磁弁の排気ポートから「プシュッ」と大きな音が出る。サイレンサー(消音器) を必ず取り付ける。騒音対策だけでなく、排気抵抗を一定にして動作の安定性にも寄与する。

なぜ起きるか:設計段階でサイレンサーの存在を忘れる。後付けすると配管スペースがなくて困る。

ミス2:配管径が細すぎる シリンダーが大きいのに配管径が細いと、流量不足で動作が遅くなる。シリンダーの有効断面積に合わせて配管径を選定する。

目安:シリンダーボア径25mm以下 → φ6配管、32〜50mm → φ8配管、50mm超 → φ10〜12配管。

ミス3:ドレン対策なし エアフィルターに溜まったドレン(水分)を抜かないと、電磁弁やシリンダーに水が混入してサビ・動作不良の原因になる。オートドレン付きフィルターを選定するか、定期排水の手順を保全に引き継ぐ。

ミス4:シリンダーストローク端での衝撃 シリンダーが端まで到達したときの衝撃音・衝撃力が大きい場合、クッション付きシリンダーを選定するか、端部にショックアブソーバーを配置する。スピコンだけでは吸収できない衝撃がある。


5空気圧回路図の描き方チェックリスト

□ 供給圧力源・FRLユニットを記載した
□ 使用する電磁弁のポート数・位置数を明記した
□ スピコンのメータイン/アウト方向を明記した
□ サイレンサーの取付位置を記載した
□ 配管径をすべての系統で指定した
□ シリンダーのクッション有無を記載した
□ 動作シーケンス(A+B+A−B−等)を別紙または同図に記載した
□ 確認センサーの取付位置を記載した
□ 緊急停止時の動作(エア遮断弁など)を設計した

6社内で説明するときの言い方

上司・設計者に対して: 「このシリンダーは垂直軸なので、スピコンはメータアウト方式で取り付けます。メータインだと重力で落下するリスクがあります。」

外注先・機器メーカーに対して: 「複動シリンダーに5ポート2位置のダブルソレノイドバルブを使います。垂直軸なのでスピコンはメータアウト、シリンダーはクッション付きでお願いします。」

現場・保全担当に対して: 「速度調整はシリンダーポート横のスピコンのネジで行ってください。締め込むと遅く、緩めると速くなります。フィルターのドレンは週1で排水してください。」


7まとめ:空気圧回路設計で決める3点

  1. 電磁弁の種類——複動は5/2弁、単動は3/2弁。シングル/ダブルは安全要件で選ぶ
  2. スピコンの方向——垂直軸は必ずメータアウト
  3. シーケンスとインターロック——センサー確認を入れてタイマー頼りにしない

次のステップ:

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この記事の執筆者

seigitech 編集部

生産技術・機械設計・自動化・MES・AIを専門とする実務エンジニア集団。 現場での実務経験をもとに、すぐに使える知識とノウハウを整理・発信しています。