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電線・ケーブルサイズの選定|許容電流・電圧降下・用途別の選び方

最終更新日 2026-06-03読了時間 約5

この記事でわかること

電線サイズが小さすぎて発熱した、電圧降下でモーターが動かない、どのケーブルを使えばいいか分からない。設備配線で使う電線選定の実務判断を整理します。

1「とりあえず2sqで」では設備が壊れることがある

制御盤や設備配線で「電線はとりあえず2mm²(2sq)でいい」という判断をすると、負荷電流が多い回路で電線が発熱して絶縁劣化・最悪の場合は火災につながる。

電線サイズは「どれだけの電流を流すか」と「何メートル引き回すか」の2軸で決まる。この記事では設備配線で必要な電線選定の考え方を整理する。


2電線選定の2つの基準

基準1:許容電流(温度上昇の制限)

電線に電流を流すと抵抗によって熱が発生する。電線の絶縁被覆が熱で劣化しない電流の上限が許容電流。

主要な電線の許容電流(概算・単線・空中配線):

断面積 許容電流(概算) 主な用途
0.5mm² 7A 制御信号・センサー線
0.75mm² 10A 制御線・操作回路
1.25mm² 13A 制御線・補助回路
2mm² 18A 小型モーター・ヒーター
3.5mm² 25A 中型モーター
5.5mm² 33A 中型モーター・幹線
8mm² 42A 大型負荷・幹線
14mm² 61A 幹線
22mm² 80A 幹線

注意: 配管内・束ねた状態では許容電流が下がる(低減係数が必要)。複数本束ねる場合は0.6〜0.7倍に下げて計算する。

基準2:電圧降下(末端電圧の確保)

長い距離を引き回すと電線の抵抗で電圧が下がり、末端の機器が正常動作しなくなる。

電圧降下 ΔV(V)= 2 × ρ × L × I / A
 ρ:銅の抵抗率(1.72×10⁻⁸ Ω·m)
 L:片道距離(m)
 I:電流(A)
 A:断面積(m²)

簡略計算(実用式):
ΔV ≒ 35.6 × L × I / (1000 × A)
 L:片道距離(m)、I:電流(A)、A:断面積(mm²)

許容電圧降下の目安:

  • 動力回路(200V系モーター):末端で±10%以内 → 20V以内
  • 制御回路(DC24V):±10%以内 → 2.4V以内(DC24Vは特に注意)

3用途別のケーブル選定

動力線(モーター・ヒーター)

  • IV線(600V耐熱PVC絶縁電線): 制御盤内配線の標準
  • CV線・CVT線: 盤外への引き出し・動力幹線
  • VCT(キャブタイヤ): 移動部・可動部への配線

制御線・信号線

  • CVS・CVVS(シールド付): ノイズの影響を受けやすいアナログ信号・エンコーダー線に使用
  • LAN(Cat5e/Cat6): 産業用Ethernet・CC-Link IEなどのネットワーク
  • PLC用I/Oケーブル: 0.3〜0.5mm²(電流が少なく引き回しやすい)

可動部・ロボットケーブル

一般の電線は繰り返し曲げに弱く、可動部で芯線が断線する。

  • ロボットケーブル(高屈曲ケーブル): 素線を細く多数撚った構造で繰り返し曲げに対応
  • 屈曲回数の目安:一般電線100万回以下、高屈曲ケーブル1000万回以上

4よくある選定ミスと対策

ミス1:電圧降下の計算をしない

DC24V制御回路で、センサーまでの距離が長い配線を細い電線で引き回した結果、センサーの動作電圧が不足してON/OFFが不安定になる。

具体例: DC24V回路、電流0.5A、片道20m、0.5mm²の場合 ΔV = 35.6 × 20 × 0.5 / (1000 × 0.5) = 0.71V 末端電圧 = 24 - 0.71 = 23.3V → DC24V機器の下限(21.6V)には余裕あり

片道50mになると: ΔV = 35.6 × 50 × 0.5 / (1000 × 0.5) = 1.78V → 22.2V(まだ問題ないが余裕が少ない)

電流が多い回路・距離が長い配線は必ず計算する。

ミス2:可動部に一般電線を使う

ロボットのハーネスやスライダの配線に一般のCV線を使い、数万回の動作で断線する。

対策: 可動部は必ずロボットケーブル(高屈曲ケーブル)を使う。選定基準は「1日何サイクル × 設計寿命(年)」で必要屈曲回数を計算する。

ミス3:アナログ信号線にシールドを使わない

温度センサー(熱電対・PT100)やアナログ出力(4〜20mA)の配線にシールドなしの電線を使い、ノイズで測定値が揺れる。

対策: アナログ信号線は必ずシールドケーブルを使い、シールドは片端(制御盤側)のみアースする(両端アースはアースループのノイズ増加の原因)。


5配線設計チェックリスト

□ 各回路の負荷電流を計算した
□ 許容電流 > 負荷電流 × 安全率(1.25倍以上)を確認した
□ 長距離配線の電圧降下を計算した
□ 可動部にはロボットケーブルを指定した
□ アナログ信号線にはシールドケーブルを指定した
□ 束ね本数が多い場合の低減係数を考慮した
□ 端子のねじサイズと電線サイズが合っている
□ ケーブルに識別マーク(ナンバー・色)を指定した

6社内で説明するときの言い方

上司・設計者に対して: 「このモーターは定格5Aなので、安全率1.25倍で6.25A以上の許容電流が必要です。2mm²(許容18A)で十分ですが、電圧降下が20m以上なら3.5mm²に上げます。」

外注先・制御盤メーカーに対して: 「アナログ入力配線はCVVSシールドケーブル0.5mm²で、シールドは盤側1点アースでお願いします。可動部のケーブルは高屈曲タイプで屈曲寿命500万回以上のものを使ってください。」


7まとめ:電線選定の2ステップ

  1. 許容電流で断面積を決める——負荷電流 × 1.25倍以上の許容電流
  2. 電圧降下で断面積を確認する——長距離・DC24Vは必ず計算

次のステップ:

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この記事の執筆者

seigitech 編集部

生産技術・機械設計・自動化・MES・AIを専門とする実務エンジニア集団。 現場での実務経験をもとに、すぐに使える知識とノウハウを整理・発信しています。