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生産能力計算の基礎|必要台数・シフト計画・ボトルネックの見つけ方

最終更新日 2026-06-03読了時間 約4

この記事でわかること

月産何台作れるか分からない、設備が何台必要か判断できない、どの工程がボトルネックか特定できない。生産能力の計算方法とシフト計画への落とし込みを整理します。

1「増産できますか?」に即答できるか

営業から「来月から月産3,000個に増やせる?」と聞かれたとき、すぐに答えられるかどうかは生産能力の数字を把握しているかどうかで決まる。

生産能力計算は「今の設備・人員でどれだけ作れるか」と「目標を達成するために何が足りないか」を定量的に示すもの。この計算ができると、設備投資・残業・外注の判断に根拠が持てる。


2生産能力計算の基本式

月産能力(個)= 1個あたりサイクルタイム(秒/個)
              ÷ 月間稼働時間(秒)
              × 稼働率(%)
              × 良品率(%)

月間稼働時間(秒)= 1日稼働時間(秒)× 稼働日数(日)× シフト数

例:

  • サイクルタイム:30秒/個
  • 1日8時間稼働、月22日、1シフト
  • 稼働率:85%(段取り・故障・休憩含む)
  • 良品率:98%

月産能力 = (8×3600×22×0.85×0.98) / 30 = 18,593個


3稼働率の設定

稼働率はOEE(設備総合効率)から取得するのが理想だが、概算では以下を使う。

設備の状態 稼働率の目安
新設備・安定稼働 90〜95%
量産中・安定 80〜90%
古い設備・不安定 70〜80%
立ち上げ中 60〜75%

段取り時間が長い設備は稼働率が大きく下がる。段取り時間を含めた実稼働率を実測することが重要。


4必要設備台数の計算

目標生産量を達成するために何台の設備が必要かを計算する。

必要台数 N = 目標月産数 ÷ 1台あたり月産能力

余裕を見て端数は切り上げ

例: 目標月産25,000個、1台の月産能力18,593個の場合 N = 25,000 ÷ 18,593 = 1.34 → 2台必要

2台目の稼働率は34%(余裕あり)なので、段取り品種の切り替えや品質確認時間に充てられる。

多品種の場合

複数品種を同一設備で生産する場合、品種ごとの生産時間を合計して判断する。

総必要時間 = Σ(品種i の月産目標 × サイクルタイム)+ Σ(段取り時間)

必要台数 = 総必要時間 ÷ 月間稼働時間(1台あたり)

5ボトルネック工程の特定

複数工程で構成されるラインでは、最もサイクルタイムが長い工程(またはキャパシティが最も小さい工程)がライン全体の生産能力を決める。

ライン月産能力 = ボトルネック工程の月産能力

(他の工程がどれだけ速くても、ボトルネックが制約になる)

工程別キャパシティ計算の手順

① 全工程のサイクルタイムと稼働率を確認する
② 工程ごとの月産能力を計算する
③ 最小の月産能力を持つ工程がボトルネック
④ ボトルネックの月産能力がライン能力

例:

工程 サイクルタイム 稼働率 月産能力
工程A 20秒 90% 28,600個
工程B 35秒 85% 15,000個 ← ボトルネック
工程C 25秒 88% 22,800個

ライン能力は工程Bの15,000個/月。


6シフト計画への落とし込み

残業・シフト増で対応できるか

目標生産量がボトルネックの能力を超える場合、シフト増や残業で対応できるか計算する。

2シフト月産能力 = 1シフト月産能力 × 2
残業2時間追加時 = 1シフト月産能力 × (10/8)

注意: シフトを増やすと設備の稼働時間が増え、保全頻度・スペア部品の消費が上がる。能力計算とあわせて保全計画も見直す。

増産判断のフローチャート

目標月産数 > 現状能力?
 YES → ボトルネックを特定する
  ↓
 残業・シフト増で対応できるか?
  YES → コスト計算して実施判断
  NO  → 設備増設を検討
   ↓
  設備投資のROI計算 → 投資判断

7よくある失敗

失敗1:理論サイクルタイムで計算する

カタログスペックや設計値のサイクルタイムで計算すると、実際の能力より高めに出る。段取り・不良・チョコ停が含まれていない。

対策: 実測サイクルタイムと実稼働率を使う。新設備の場合は立ち上げ後3ヶ月の実績で再計算する。

失敗2:ボトルネック以外に投資する

ボトルネックが工程Bなのに、工程Aの設備を増設する。ライン全体の能力は変わらない。

対策: 投資はボトルネック工程のみ。TOC(制約理論)に従い、常にボトルネックから改善する。

失敗3:良品率の低下を無視する

不良率が上がると実際の良品出荷数が減る。不良率1%と5%では、同じサイクルタイムでも良品の月産数が大きく変わる。

良品率95%の場合、100個投入で5個が不良になる。月産目標が良品数なので、投入数は月産目標 ÷ 良品率で計算する。


8社内で説明するときの言い方

上司・経営者に対して: 「現状の月産能力は工程Bがボトルネックで15,000個/月です。20,000個達成には工程Bの設備を2台にするか、2シフト稼働にする必要があります。2シフトのコスト試算を出します。」

生産管理担当に対して: 「来月の生産計画が18,000個ですが、ボトルネックの工程Bが15,000個しか処理できません。3,000個分は外注か翌月繰り越しの判断をお願いします。」


9まとめ:生産能力管理の3ステップ

  1. 工程別の月産能力を計算する——サイクルタイム × 稼働率 × 良品率
  2. ボトルネックを特定する——最小キャパシティ工程がライン能力を決める
  3. ボトルネックに集中して改善・投資する——他工程の改善は効果なし

次のステップ:

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この記事の執筆者

seigitech 編集部

生産技術・機械設計・自動化・MES・AIを専門とする実務エンジニア集団。 現場での実務経験をもとに、すぐに使える知識とノウハウを整理・発信しています。