電気回路図・配線図の読み方|制御盤設計者が最初に覚える記号と読み順
この記事でわかること
電気図面が読めない、回路図と配線図の違いが分からない、トラブル時に図面を追えない。制御盤・設備の電気図面の読み方を現場で使えるレベルで整理します。
1「電気は専門外」では通用しない場面がある
生産技術・機械設計の担当者でも、設備トラブルの現場では電気図面を読む場面が来る。「電磁弁が動かない」「センサーが反応しない」——こういったトラブルの原因を追うには、回路図を見て電気の流れをたどる必要がある。
この記事では、制御盤・設備で使われる電気図面の種類と読み方の基本を整理する。
2電気図面の種類
| 図面の種類 | 内容 | 使いどころ |
|---|---|---|
| システム構成図(系統図) | 電源からの系統・機器間の接続関係 | 全体把握・電源設計 |
| 回路図(シーケンス図) | 制御回路の動作ロジック | 動作確認・トラブル追跡 |
| 配線図(接続図) | 実際の端子番号・配線の行き先 | 施工・配線確認 |
| 配置図(レイアウト図) | 盤内機器の物理的な配置 | 機器の場所確認 |
| PLCラダー図 | PLCプログラムのロジック | PLC制御のデバッグ |
3回路図(シーケンス図)の読み方
基本構造
回路図は上下に電源ライン(L1・L2またはP24・N)を引き、その間に回路を横に並べて描く。
P24 (DC+24V) ─────────────────────
│ │ │
[SW1] [SW2] [CR1コイル]
│ │ │
0V (GND) ─────────────────────
よく使う記号
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ─┤├─ | 常開接点(a接点):通常はOFF、動作するとON |
| ─┤/├─ | 常閉接点(b接点):通常はON、動作するとOFF |
| ─( )─ | コイル:励磁されると接点が動作 |
| ─[M]─ | モーター |
| ─◇─ | 電磁弁ソレノイド |
| ─[R]─ | 抵抗 |
| ─[F]─ | ヒューズ |
| ─[MC]─ | 電磁接触器(マグネットコンタクタ) |
| ─[OL]─ | サーマルリレー(過負荷保護) |
a接点とb接点の混乱を防ぐ
最初に混乱するのがa接点・b接点の使い分け。
- a接点(常開): 普通は開いている(電流が流れない)。ボタンを押す・コイルが励磁されると閉じる
- b接点(常閉): 普通は閉じている(電流が流れる)。ボタンを押す・コイルが励磁されると開く
非常停止ボタンがb接点になっているのは「断線しても安全側(回路が切れる)になる」フェイルセーフの設計。
回路図を読む手順
① 電源ラインを確認する(AC100V/200V、DC24V等)
② 保護回路(ヒューズ・ブレーカー)を確認する
③ 動作させたい出力(コイル・モーター・ソレノイド)を探す
④ そのコイルに電流が流れる条件(接点の組み合わせ)を追う
⑤ 各接点がどの機器・どのコイルに属するかを確認する
4配線図(接続図)の読み方
端子番号の体系
配線図では各機器の端子に番号が振られ、どの端子とどの端子をつなぐかが書かれている。
例:
機器A の端子3 ─── 機器B の端子7
└── 端子台TB1-12
ワイヤーナンバー(電線番号)
配線図の電線には番号が付いている(例:W001、24V-OUT-1など)。この番号を手がかりに実機の配線を追える。
トラブル時の活用: 「この機器のX端子に来ているはずの信号が来ていない」→ 配線図でX端子のワイヤー番号を確認→ そのワイヤーの来源(前段の機器・端子台)を追う。
5主電回路(動力回路)の読み方
モーターの起動・停止を制御する回路。制御回路とは別に、大電流の主回路がある。
【典型的な直入起動回路】
R─[MCCB]─[MC主接点]─[OL]─U
S─[MCCB]─[MC主接点]─[OL]─V → モーター(3相)
T─[MCCB]─[MC主接点]─[OL]─W
MCCB:配線用遮断器(過電流保護)
MC:電磁接触器(ON/OFF制御)
OL:サーマルリレー(過熱保護)
MC(電磁接触器)のコイルに制御回路からの信号が入ると主接点が閉じてモーターが回る。
6PLCラダー図との関係
最近の設備はPLCで制御するため、シーケンス図の多くがラダー図に置き換わっている。
ラダー図の基本:左母線と右母線の間に接点とコイルを並べる。接点からコイルまでの経路が「電流が流れる条件」。回路図のシーケンス図と考え方は同じ。
│─┤SW1├──┤SW2├──────────(Y001)│
│ │
│─┤Y001├─┤SW3├──────────(Y002)│
→ SW1とSW2が両方ONでY001コイルがON → Y001がONかつSW3がONでY002がON
PLCラダー図の詳細はラダー図の基礎を参照。
7トラブル時の図面活用
出力(電磁弁・モーター)が動かないとき
① 出力機器の電源を確認(電圧測定)
② 配線図で出力コイルに来ているワイヤーを確認
③ 回路図でそのコイルが励磁される条件の接点を全て確認
④ 各接点の実際のON/OFF状態をテスターで確認
⑤ 条件が揃っているのに動かない → コイル断線・機器故障を疑う
センサーの信号が来ないとき
① センサーの電源電圧を確認(DC24V供給されているか)
② 配線図でセンサー出力のワイヤー番号を確認
③ そのワイヤーが接続されているPLC入力端子を確認
④ PLC側で入力点灯を確認(PLCのオンラインモニター活用)
⑤ センサーは反応しているのにPLCが読んでいない → 断線・ショートを疑う
8社内で説明するときの言い方
上司・設計者に対して: 「この電磁弁が動かない原因を回路図で追いました。Y005コイルの前にある安全リレーのb接点が開いていて、安全回路の異常信号が来ています。」
現場・保全担当に対して: 「配線図でこの端子番号W023を追うと、端子台TB2の12番に来ています。そこからセンサーまでの配線を確認してください。」
9まとめ:電気図面読み方の3ステップ
- 系統図で全体把握——電源の流れと機器構成を確認
- 回路図で動作条件を追う——コイルに至る接点の組み合わせを読む
- 配線図で実機を追う——端子番号・ワイヤー番号で現物と照合
次のステップ:
- 制御盤設計の基礎 — 盤全体の設計へ
- ラダー図の基礎 — PLCプログラムの読み方へ
- インターロック設計の基礎 — 安全回路の設計へ
この記事の執筆者
seigitech 編集部
生産技術・機械設計・自動化・MES・AIを専門とする実務エンジニア集団。 現場での実務経験をもとに、すぐに使える知識とノウハウを整理・発信しています。