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設備保全計画の立て方|予防保全・予知保全・定期点検の設計方法

最終更新日 2026-06-03読了時間 約5

この記事でわかること

設備が突然壊れて生産が止まる、保全計画がなく場当たり対応になっている、どこを何の頻度で点検すればいいか分からない。設備保全計画の設計と運用方法を整理します。

1「壊れてから直す」では生産が止まる

設備が突然停止して生産計画が崩れる——これは「事後保全(BM:Breakdown Maintenance)」に頼った結果だ。事後保全は修理コストが高く、停止時間も読めず、部品在庫も管理できない。

設備保全の目標は「計画した通りに設備を稼働させ続けること」。そのための仕組みが保全計画だ。


2保全の種類と使い分け

保全の種類 内容 特徴
事後保全(BM) 壊れてから修理 コスト安だが停止リスク大
予防保全(PM) 周期を決めて定期的に部品交換・点検 停止を予防できるが過剰保全になりやすい
予知保全(PdM) 状態監視データで劣化を検知し最適なタイミングで保全 最も効率的だが導入コスト高
改良保全(CM) 保全しやすい・壊れにくい設備に改良 根本的な解決

選択の基本方針:

  • 停止すると大きな損失が出る重要設備 → 予防保全+予知保全
  • 壊れても代替がある・影響が小さい設備 → 事後保全でコスト削減
  • 繰り返し同じ箇所が壊れる → 改良保全で根本対策

3予防保全計画の作り方

Step 1:設備のランク分け(重要度評価)

全設備を一律に厳密に保全するのはコストが見合わない。重要度に応じてランクを付ける。

Aランク(最重要):
 ・停止で生産ライン全体が止まる
 ・代替設備なし
 → 予防保全+予知保全・在庫スペア確保

Bランク(重要):
 ・停止で一部工程が止まる
 ・代替が難しい
 → 定期点検・重要部品の在庫確保

Cランク(一般):
 ・停止の影響が限定的・代替あり
 → 事後保全または最低限の定期確認

Step 2:点検項目と周期の設定

設備の部位ごとに「何を・どの頻度で・どうやって確認するか」を決める。

【典型的な点検周期の目安】

日常点検(毎日):
 ・異音・異臭・異常振動の確認
 ・潤滑油の油面・漏れ確認
 ・エアフィルターのドレン排水

週次点検:
 ・ベルトの張り・摩耗確認
 ・ボルト・ナットの緩み確認
 ・センサーの動作確認

月次点検:
 ・給脂(グリースアップ)
 ・フィルター清掃・交換
 ・電気接点の清掃

年次点検:
 ・ベアリング交換(寿命計算に基づく)
 ・オイル交換
 ・絶縁抵抗測定
 ・安全装置の動作確認

Step 3:部品の寿命と交換周期の設定

消耗部品は寿命(MTBF:平均故障間隔)から交換周期を決める。

交換周期 = MTBF × 安全係数(0.7〜0.8)

例:ベアリングの計算寿命L10 = 20,000時間
 安全係数0.8 → 16,000時間(約2年・8時間/日稼働)で交換

MTBFが不明な部品は、故障データの蓄積から推計する。保全記録をつけることが重要。


4点検記録と管理

点検チェックシートの設計

点検チェックシートは「判断基準」を明記することが重要。「確認した」だけでは担当者によって判断がばらつく。

NG例:「ベルトの状態を確認する」→ 何が問題か分からない

OK例:
 □ ベルトのたわみ量:5〜10mm(テンション基準値)
 □ ベルト表面のひび割れ:なし(ひび割れがあれば要交換)
 □ ベルト幅の減り:原寸の90%以上(それ以下は要交換)

保全記録のつけ方

保全記録は将来の計画見直しと故障分析に使う。最低限記録すべき情報:

・実施日時
・設備名・設備番号
・点検・作業内容
・交換した部品(品番・数量)
・発見した異常(今回対処したか・次回対応か)
・次回点検予定日

5予知保全の導入

振動センサー・温度センサー・電流値の継続監視により、異常の兆候を早期発見する。

導入しやすい予知保全の手法

監視対象 測定方法 検知できる異常
ベアリング 振動センサー・温度センサー 摩耗・損傷・異常発熱
モーター 電流値監視 過負荷・巻線劣化
ポンプ・ファン 振動・流量監視 インペラ摩耗・閉塞
油圧ユニット 油温・圧力監視 オイル劣化・漏れ

導入判断の目安: 予知保全装置のコスト < 1回の突発停止による損失 × 年間発生頻度


6よくある失敗

失敗1:保全計画はあるが実施されない

計画を作ったが現場が忙しくて後回しになり、いつの間にか機能していない。

対策: 保全作業を生産スケジュールに組み込む(計画停止)。「生産の合間にやる」ではなく、「保全のために生産を止める時間を確保する」という管理者の意思決定が必要。

失敗2:消耗部品の在庫がない

保全時期が来たが部品がなく、緊急発注で納期2週間——その間設備を止めざるをえない。

対策: 消耗部品の交換周期を元に在庫数を計算して確保する。発注リードタイムより長い在庫を持つ。

失敗3:保全記録がなくて繰り返し壊れる

同じ箇所が繰り返し壊れているのに、記録がなくて改良保全につながらない。

対策: 故障記録を必ず残し、同じ箇所が3回以上壊れたら改良保全(根本対策)を検討する。


7社内で説明するときの言い方

上司・管理者に対して: 「この設備は生産ライン全体のボトルネックでAランクです。ベアリングの交換周期を16,000時間に設定して計画保全に切り替えます。スペア在庫として2個確保します。」

現場・保全担当に対して: 「毎日の始業前にこの3点を確認してください。異音・油量・エアドレン。異常があればラインを止める前に連絡してください。」


8まとめ:保全計画設計の3ステップ

  1. 設備をランク分けする——重要度に応じて保全レベルを決める
  2. 点検項目と判断基準を決める——「確認した」ではなく数値基準を設定する
  3. 記録を残して改善につなげる——故障記録が次の改良保全の材料になる

次のステップ:

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この記事の執筆者

seigitech 編集部

生産技術・機械設計・自動化・MES・AIを専門とする実務エンジニア集団。 現場での実務経験をもとに、すぐに使える知識とノウハウを整理・発信しています。